ざっくりと説明すると、
高度成長期には資本主義と民主主義が均衡しながら発展していたのだけど、
生産性が高まったりグローバル化が進んだりして、
消費者や投資家が簡単により「お買い得」なものに流れるようになると、
お金が一番の資本主義の勢いが強まってしまったという話。
お金のために動く資本主義では、コストを下げて利益を増やす人がえらい。
でも、その影で新興国に労働力が移管することで自国の失業率が減ったり、
性や暴力がメディアに氾濫したり、市民が第一の民主主義が失われかけているという事実もある。
一貫しているのは、投資家・消費者としての自分(株価上げろー、安いの大好きー)と
労働者・市民としての自分(福利厚生増やせー、環境保護しろー)がジレンマを起こしているということ。
しかも、自分ひとりが高潔さをもって資本主義に反対しても、残り何億人もの投資家が現状を維持してしまうため、結局自分ひとりが損をしてしまう。全員が同時に他のみんなの利益も考えるようなグランドクロス的なシンクロが起きない限り、この状態は解消されない。
問題はシンプルだが根深い。
筆者が主張しているのは、資本主義の隆盛によって法人があたかも一人の市民のような権利をもってしまったことが根源だという。
つまり、税金(法人税)を払い、その分権利も主張すること(もちろん裁判も)が可能となっている。そしてその大きさは一人の市民よりもずっとずっと大きい。だから企業が政治に介入してくるし、政治かも市民を守るよりも企業を守るほうへ動いてしまう。
当然いくつか解決策を提示しているのだが、それは読んでのお楽しみ。
でも一つだけ紹介。それがタイトル。
法人税の撤廃をすることで、企業は無理な買収などで利益を抑えようとはせず、そのまま投資家への配当に流れる。さらに投資家からは個人として所得税を取るため、税金の公平性も保たれる。(企業に40%の税金をかけていると、100万投資している人も100億投資している人も同じだけ払っていることになるから現状は不公平といえるよね)
ここからは個人的な意見だけど、法人税を撤廃は本当に可能なのかしら。
もともと日本は法人税が諸外国に比べて高いから、海外へ企業が進出してしまっているという批判を受けていた。
でも法人税が下がると企業の利益が海外投資家へ回ってしまうため、やっぱり日本のお金が海外へ流れてしまうんジャマイカ。でも日本がタックスヘイブン化するわけだから、資本留保地としてお金が流れ込む可能性もあるのか。うーん、どっちがいいか誰か試算してくれないかなあ。
ともかく、勝間和代さんもオススメしているが、この本は個人的に2008年暫定1位。たぶんこれ以上の良書は今年はお目にかかれないと思う。
こんな人にオススメ↓
・地元の商店街が潰れるのをみるのは嫌!でもついついネットショッピングしてしまう…。
・コンビニとかはドア開けたままガンガン冷房きかせているけど、エコじゃないなあ。でも暑いのは嫌!
・失業者がどんどん増えるのはなんか嫌。でも自分の投資している会社が使えない社員にばんばん給料を上げるのはもっと嫌!
書評(☆5つが最高)
暴走する資本主義
読みやすさ☆☆☆
気づき☆☆☆☆☆
追記:
著者のロバート・ライシュ氏はノーベル賞受賞者のポール・クルーグマン氏に批判されているようですね。クルーグマンの本も読んでみよう。
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